「熱気」って何?香港人に学ぶ、心と体を整える「涼茶」生活の知恵

「熱気」って何?香港人に学ぶ、心と体を整える「涼茶」生活の知恵


「熱気」って何?
香港人に学ぶ、心と体を整える「涼茶」生活の知恵

 

揚げ物を食べた後の喉の痛み、寝不足でできてしまった口内炎、なんだか体が重くて、ニキビも気になる…。そんな時、香港の家庭ではお母さんが「熱気だね(有熱気呀)」と一言。

日本人のお客様にとって、この「熱気(イッヘイ)」という言葉は、少し不思議に聞こえるかもしれませんね。

今日は、香港の暮らしに深く根付いているこの「熱気」という考え方と、その最高の相棒である「涼茶(リョンチャ)」について、私たちの視点からご紹介したいと思います。

「熱気」って、一体なに?

まず、「熱気」は気温の「暑さ」とは全く違います。これは、東洋医学の考え方に基づく、「体内のバランスが崩れ、内に熱がこもった状態」を指す言葉です。

バランスが崩れる原因は、私たちの日常の中にたくさん隠れています。
  • 食べ物: フライドチキン、ポテトチップス、スパイシーな料理、チョコレートやナッツ類
  • 生活習慣: 夜更かし、寝不足、ストレス、疲労

これらの要因が重なると、体は「熱気」のサインを出し始めます。例えば、喉の痛み、口内炎、ニキビ、目の充血、便秘などがその代表的な症状です。

香港人の知恵「涼茶」の登場

では、香港人はこの「熱気」にどう対処するのでしょうか?その答えが、街の至る所にある「涼茶舖(涼茶スタンド)」で売られている、涼茶(リョンチャ)です。

名前に「涼」という字が入っていますが、これは温度が「冷たい」という意味ではありません。「体の熱を冷ます、クールダウンさせる」という意味合いが込められています。そのため、涼茶は常温か、温かい状態で飲むのが一般的です。

見た目は真っ黒で、漢方薬のような独特の香り。一口飲むと、強い苦味を感じるものも少なくありません。でも、香港人は「良薬は口に苦し」という言葉を信じて、ぐいっと飲み干します。不思議なことに、飲んだ後は喉がすっきりして、体が少し軽くなったように感じるのです。

代表的な涼茶の種類

涼茶にはたくさんの種類があり、それぞれ効果が異なります。代表的なものをいくつかご紹介しますね。

  • 二十四味 (ヤッセイメイ): 最も有名で、最も苦いとも言われる「涼茶の王様」。解毒作用が強いとされています。
  • 五花茶 (ンファーチャー): 菊の花などを使った、甘みがあって飲みやすい涼茶。日常的なクールダウンにぴったりです。
  • 雞骨草 (ガイクワッチョウ): 肝臓の熱を取り除くのに良いとされ、お酒をよく飲む人や、疲れが溜まっている人に人気です。

香港の知恵を、暮らしの中に

「熱気」を感じたら「涼茶」を飲む。この習慣は、単なる民間療法という以上に、「自分の体の声に耳を傾け、バランスを整える」という香港人の養生哲学そのものです。

忙しい毎日の中で、私たちはつい自分の体のサインを見過ごしがちです。でも、少し立ち止まって、今日の自分の状態を感じてみる。そして、食事や生活習慣でセルフケアをする。

Bon & Yanが皆様にお届けしたいのは、素敵な香港の「モノ」だけではありません。その背景にある、こうした日々の暮らしを豊かにする「物語」や「知恵」も、一緒に分かち合いたいと願っています。

次に香港を訪れる機会があれば、ぜひ街角の涼茶舖を覗いてみてください。そして、もし私たちがセレクトした商品の中に、皆様の心と体を「クールダウン」させる何かを見つけていただけたら、それ以上に嬉しいことはありません。

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